特定非営利活動法人法人 疾病管理・地域連携支援センター

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日本の新たな医療者教育の取り組みIPWとIPE

①IPE・IPWとは

 昨今、医療現場や医育機関の中で「多職種協働」による実践(IPW: Inter-Professional Work)や教育(IPE: Inter-Professional Education)が論じられることが多くなりました。

 病院では、褥層対策チーム、栄養サポートチーム(NST)、感染対策チーム(ICT)、退院支援チームなど多職種で課題解決にあたるチームが増えてきました。他方、在宅は個々のケースが多職種協働の場ですから、あえてIPWという言葉が使う必要がありません。IPWという言葉が重視されるようになったのには、それだけ病院が「縦割り」だったという経緯もあるように思います。

 IPWの構成員には、医師や看護師はもちろん、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士などの幅広いコメディカルや、事務職なども含まれます。

* ただ、医育機関では養成対象職種の専門教育に特化しているため、学生はその職種の視点に縛られやすい傾向にあります。そこで複数の学部や大学が連携し、IPWを体感するような演習を構築する動きも盛んです。

 多職種での課題解決を図るためには、多職種での情報共有が前提になります。ですので、情報共有を支えるデータマネジャ(診療情報管理士、医療情報技師、医師事務作業補助者等)もIPWの重要なプレーヤーです。

 また、IPWでは、単なるスローガンで終らないための戦略的な仕掛けがとても重要です。ビジョンと現況を共有できる簡明なツールが、今後のIPWを支えるカギを握っているといっても過言ではありません。

②IPWを支える多職種研修の実際

 IPW・IPEが成立するには、複数の職種が同じビジョンを共有できていることが前提になります。ビジョンを共有しないままに色々な職種が集っても、それは単なる「分業」に過ぎません。そのためには、日頃から研修などを通じて多職種が交流していることが重要です。

* このようなIPEの取り組みとしては、アイオワ心臓協会の研修が特徴的です。これは、「看護・メディカルアシスタント合同研修」と題するものですが、実際には社会福祉士や栄養士なども加わります。まずは血圧の測定原理のような基本的なことを確認した上で、社会福祉士からは血圧を悪化させ得るストレスのマネジメント、栄養士からは健康的な食生活の実践、看護師からは保健指導の際のコーチング、そして事務職が行う受診勧奨のためのデータ管理などを、全職種が一緒に学びます。

 もちろん、研修そのものも、複数の職種が協働で企画していますし、単に学習するだけではなく、食生活を学びつつ会食の機会を持つなどして、多職種が交流する機会もあります。

 同協会の研修プログラムを作っているのは、教育学博士号を持つコメディカルです。楽しみながら学べる研修の背景には、精緻な教育設計が行われているのです。

 このような多職種研修が、日本でも少しずつ増えていくことを願うばかりです。

写真:アイオワ心臓協会のシンディ・コンロイ氏

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