2011年はわが国にとって非常な試練の年でした。地震災害と較べることは出ませんが、私どものNPOも産みの苦しみと発足時にある、叱咤激励を含む各界からのご質問やご批判にお応えするのに忙殺された初年度でした。
当NPOは、現在糖尿病・代謝を専門とする小生が理事長で、メンバーに糖尿病の専門家がいることから、糖尿病の疾病管理が中心と思われがちですが、当NPOの方針はあらゆる慢性疾患、慢性的身体状況について取り扱うことを基本方針とあいております。病院と診療所の間の診療連携よりむしろ、コ・メディカルを含む職種間連携(coordination)の質的向上を図り、線から面への展開を通して、患者の特性や地域性などの多様性に対応できるシステム論で疾病管理支援を行うシンクタンク(think tank)の役割を担う計画です。糖尿病は患者教育を含む慢性疾患管理のモデルであることに違いはなく、私のこれまでの経験を生かすことが出来ると思います。
近年、EBM(Evidence Based Medicine) の後に続く医療形態としてTranslational Medicine(TM)が注目されています。詳細については、後日順次説明いたしますが、TMとは研究室(Bench)から臨床とベッドサイドの実践を診療への応用(“Bench to bedside“と“Bedside to clinical practice”)を密にし、新知見、技術革新の情報を速やかに現場に伝える方法論です。臨床に従事する医師、コ・メディカルは患者のために翻訳し、その成果がパスやマニュアルとなるのです。Intelligence(知恵)は practice(実践)から生まれるのです。臨床現場と研究室との風通しをよくすることは、何より、疾病の管理に人種、性、病気による偏見、経済状況、地理的不平等などから来る差別の解消は医療職の使命ではないでしょうか。
理事長 松岡 健平